ベトナムの文化遺産を活かしたコミュニティベースの観光開発

Scene Plus Architectsが提案する、歴史と現代が共存する新たな都市デザイン

ベトナム、ビンディン州のランソン修道院を中心に展開されるコミュニティベースの観光開発。古き良き歴史と現代のライフスタイルが融合し、新たな価値を創出する。

ランソン修道院は、ベトナム国内で初めて印刷技術が導入され、ベトナム文字の発祥の地とされています。この地域は都市化の進行により、その美しい風景と歴史的価値が失われつつありました。そこで、Scene Plus Architectsは、この地域の美しさと多様な文化遺産を活かした観光開発を提案しました。

このプロジェクトの特徴は、修道院と周辺の田園風景を保存しつつ、商業や文化活動のための広場を設け、古い教会と河岸をつなげることです。また、「文字の井戸」と「文字の泉」を作り、屋外のアートと照明展示を通じて、ベトナム文字の起源の物語を伝えることで、新たな文化遺産の価値を創出します。

この都市デザインは、観光開発を通じてランソン修道院の文化遺産を保存し、その価値を高めることを目指しています。このため、歴史的な文書や現状の研究から始まり、地元の司教や住民、政府とのワークショップを通じてプロジェクトは進行しました。

このプロジェクトの大きな課題は、古い文化と新しい文化をつなげ、異なる空間や時間のテーマに対する開発方向を見つけ、投資家を納得させることでした。また、新型コロナウイルスの影響で観光業が困難な状況にあり、商業や文化活動の開発、特に観光客を引き付けるための生きた遺産の創出が難しくなっています。

しかし、コミュニティベースの観光は、小さなグループで利益を分け合うことが可能で、顧客のニーズに柔軟に対応することができます。ランソン修道院の周辺の田園風景とベトナム文字の起源の物語を現代のアートの言語で語り、ビンディンの湾やラグーン、山々といった風景や多様な文化遺産を活かした観光開発が進められています。

このプロジェクトは、2021年にA' Cultural Heritage and Culture Industry Design Awardのブロンズ賞を受賞しました。この賞は、芸術、科学、デザイン、技術のベストプラクティスを取り入れ、強力な技術的・創造的なスキルを持ち、生活の質の向上に貢献し、世界をより良い場所にする優れたデザインに授与されます。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Scene Plus
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プロジェクトチームのメンバー: Scene Plus Lecaron Architecte
プロジェクト名: The Pilgrimage
プロジェクトのクライアント: Scene Plus


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